鬼嫁?
この前来たお客さんの話。
篠原文具は9時開店なんだけど、
ほぼ開店時刻に来た30代前半くらいのお兄さん。
ペットボトルの素材がくっつく接着剤がほしいと言う。
篠原文具では、特殊な場合とか、お客さんにこだわりがあるときを除き、
だいたい多目的と呼んでいる接着剤をお勧めする。
なんでもくっつくんだもん。
多目的の箱に書いてある使える素材を、
穴があくほど見る。
こうなったら、横に立っていてもじゃまなだけなので、
スーッとそばを離れる。
どうぞご覧くださいとか言ってね。
で、多目的はお気に召さなかったみたいで、
となりにあった、あまり売れない接着剤を買っていった。
1時間ほどして。
またお兄さんが戻ってくる。
ネットでよーく調べたらペットボトルの素材がわかり、
それはこれではくっつかないので返品・交換してください。
はいはい、どーぞ。
あーでもない、こーでもない、いろいろ言って、
私では対処しきれなくなって来たら、
坂東さんが、
多目的なら何でもくっつきますよ。
たぶん大丈夫じゃないですかね~
この一言で多目的を買って帰る。
またまたしばらくして、
さっき主人がこれを買ってきたんですけど(怒)
と、きれいな女性が来た。
たかだか近所の文房具屋に来るだけなのに、
素敵なブラウスとプリーツスカート。
リボンのついたおしゃれな帽子。
いちごパックのふちに何個も穴をあけ、
その穴にきれいなリボンを通していって、ふちをリボンで覆い、
ちょっとした入れ物(幼稚園生が何かを入れて遊ぶような)を作るらしい。
その穴が、へりまでピーっとつながって、
穴ではなく、切れ目になってしまったのを何とかくっつけたいんだって。
いやーそれはどんな接着剤でも無理だろう。
普通なら切れ目のまわりにセロハンテープをはって補強するのだろうが、
リボンを通すのでそれはできないと言う。
今度は社長が出てきて、
うちは何でも多目的でつけちゃいますよ、よくくっつきますよ!
と自信をもっておすすめしたら、
ちょっとしぶしぶだけど、でも仕方ないっかって感じで、多目的を買っていった。
妄想だけどね。
昨日の夜、いちごパックにリボンを通して、きれいにできたと思ったのに、
何かの拍子に穴がさけちゃったんだね。
旦那さんに何を使えばくっつくか、ネットで調べさせたんだろうな。
そしてその日休みだった旦那さんが朝一で来たんだね。
最初に買っていった接着剤にはいちごパックの素材が書いてなかったんだね。
「もー使えないんだから。もう1回行ってきて」
2度目に多目的を買って帰ったら、
「ほんとにこれでくっつくの?」
「お店の人にたぶん大丈夫って言われたよ」
「たぶん?たぶんってどういうことよ(怒)もういい、私行ってくるから」
ぷんぷんしながらお化粧ばっちりして家を出たんだろうね。
坂東さんだったら、たぶん大丈夫だと思いますよ~と薄ら笑いを浮かべて言われるから、
信用できない!って思ったかもしれないけど、
社長が自信をもって多目的で大丈夫!って言いきっていたからね。
来た時の怒りはおさまって帰って行ったよ。
家で、旦那さん、なんて言ったかな~
ほら、やっぱりこれでいいんじゃん!
なーんて言おうものなら100倍返ってくるから、何も言わないね。